定義
ウォークフォワード分析
ウォークフォワード分析は、ある期間でパラメータを最適化し、次の期間でそのまま検証し、両方を前へずらして繰り返す手法です。効率の読み方と、検証が無効になる典型例を解説します。
ウォークフォワード分析とは、戦略のパラメータをある期間の過去データで最適化し(インサンプル)、それを一切変えずに直後の期間で検証し(アウトオブサンプル)、両方の期間を前へずらして同じことを繰り返すバックテスト手順です。つなぎ合わせたアウトオブサンプル区間の成績だけが唯一意味を持つ数字で、インサンプルの成績はパラメータを選ぶための費用にすぎず、証拠ではありません。典型的な分割はインサンプル十二か月・アウトオブサンプル三か月を四半期ごとにずらす形で、アウトオブサンプル収益をインサンプル収益で割ったウォークフォワード効率が約 0.5 を下回れば、パラメータは安定していないと判断します。
- 別名
- ウォークフォワード最適化 · ウォークフォワードテスト · ローリング検証
計算方法
Window k: fit on [t_k, t_k + IS), test on [t_k + IS, t_k + IS + OOS)
Roll: t_{k+1} = t_k + OOS, then repeat
Reported performance = the stitched OOS segments only
WFE = annualised OOS return ÷ annualised IS return
IS 30% / OOS 9% → WFE = 0.30 (below ~0.5: parameters unstable)
Typical split: IS 12 months / OOS 3 months, rolled quarterly
計算例: インサンプル十二か月の年率収益 30%、直後三か月のアウトオブサンプル年率収益 9%。ウォークフォワード効率 = 9 ÷ 30 = 0.30 で、パラメータは不安定です。
アウトオブサンプル区間だけが数字として意味を持つ理由
Bailey、Borwein、López de Prado、Zhu は、パラメータの試行を十分に重ねれば、戦略に優位性がまったくなくても高いインサンプルのシャープレシオが期待値として現れることを示しました。残されるのは N 回の無作為な試行の最大値だからです。Lo と MacKinlay は学術的な資産価格検定にも同じデータスヌーピングのバイアスがあることを記録しています。ウォークフォワード分析はこれに対する実務上の防御です。パラメータは自分が評価される期間を一度も見ていないため、つなぎ合わせたアウトオブサンプルの記録は、予定どおりに再最適化しながら運用した実口座が得たはずの成績になります。試行回数を数え、最良のインサンプル結果は N 回の試行の期待最大値であってシグナルではない、と扱ってください。
ウォークフォワード効率の読み方
ウォークフォワード効率は、年率換算したアウトオブサンプル収益を年率換算したインサンプル収益で割った値です。インサンプルで 30%、アウトオブサンプルで 9% を稼ぐルールの効率は 0.30 で、インサンプルの数字の七割は市場ではなく当てはめが生んだものだったことになります。約 0.5 未満ならパラメータは不安定で取引に使えません。0.5 から 1 の間は優位性の一部がノイズに失われている状態で、これは正常です。1 を大きく超える値は、ルールよりもそのアウトオブサンプル期間について語っています。QANTERION にバックテストエンジンはなく、アウトオブサンプル期間に相当するのは、実口座での執行を有効化する前にライブの市場データで行うペーパートレードのフォワードテストです。
よくある誤読
ウォークフォワード分析を無効にするのは、たいてい実行している本人です。一度回してアウトオブサンプルの記録が悪ければ、パラメータ範囲や期間の長さを見栄えがよくなるまで変える。その時点でアウトオブサンプル期間は最適化に使われ、インサンプルになっています。もう一つの誤りは、良好なアウトオブサンプル期間が一つあるだけで検証済みとみなすことです。その期間に戦略がほとんど取引していなければ意味はなく、三か月で六回しか取引のない期間は、良くも悪くも統計的な重みを持ちません。
出典
- Pseudo-Mathematics and Financial Charlatanism: The Effects of Backtest Overfitting on Out-of-Sample Performance — Notices of the American Mathematical Society, Vol. 61 No. 5 (2014)
- The probability of backtest overfitting — Journal of Computational Finance (Risk Journals)
- Data-Snooping Biases in Tests of Financial Asset Pricing Models — National Bureau of Economic Research (Andrew W. Lo, A. Craig MacKinlay)
本用語集は教育目的です。ここに投資助言は含まれず、記載のいかなる指標も将来の結果を予測するものではありません。
定義を知るのは簡単な部分
ドローダウンの意味を知っていることと、それに達したら止まる仕組みを持っていることは別です。QANTERIONは戦略の稼働中にこれらの制限を実際に適用します。