定義
スリッページ
スリッページは想定価格と実際の約定価格の差です。定義、計算式、サイズとともに非線形に拡大する理由、バックテストを無効化する仕組み。
スリッページとは、取引が約定するはずだった価格と実際に約定した価格の差であり、想定価格に対する割合で表します。注文が板の流動性を消費するために生じ、成行注文は約定するまで板を歩いていくため、深く歩くほど平均価格は不利になります。スリッページは注文サイズ、ボラティリティ、そして板の薄さとともに拡大します。
- 別名
- 約定スリッページ · プライスインパクト
計算方法
Slippage = |Fill price − Intended price| ÷ Intended price × 100 %
Round-trip cost = (Fees × 2) + (Slippage × 2) + Funding held
Subtract the whole line from expectancy, not from profits.
計算例: 想定65,000ドルに対し65,065ドルで約定 → スリッページ0.1%、6万5千ドルの注文で65ドル。
サイズに対して非線形に拡大する
注文を倍にしてもスリッページは倍にとどまりません。注文が板のより深い層へ入り、追加される1単位ごとのコストが前の単位より高くなるためです。1万ドル規模で利益が出る戦略が、ルールを一つも変えないまま50万ドル規模で損失に転じるのはこのためであり、キャパシティが後付けの検討事項ではなく戦略固有の性質である理由でもあります。
バックテストと実運用の主要な乖離
終値、仲値、シグナル価格で約定させるバックテストは、当時存在しなかった流動性を前提にしています。手数料と並び、モデル化されないスリッページは、検証では利益が出た戦略が実運用で損失を出す最も一般的な原因です。特に高頻度や損切りの狭いシステムでは、1トレードあたりの優位性が小さいだけに致命的です。
よくある誤読
スリッページは固定のベーシスポイントとしてモデル化されがちです。しかし現実のスリッページは状況依存で、戦略が最も多く売買する荒れた局面でこそ急拡大します。平穏な期間を含めて平均した数値は、まさに重要な場面でコストを過小評価します。
出典
- Direct Estimation of Equity Market Impact — Robert Almgren, Chee Thum, Emmanuel Hauptmann and Hong Li (Risk, July 2005; author copy hosted by the University of Pennsylvania)
- Optimal execution of portfolio transactions — Journal of Risk (Infopro Digital / Risk.net)
本用語集は教育目的です。ここに投資助言は含まれず、記載のいかなる指標も将来の結果を予測するものではありません。
定義を知るのは簡単な部分
ドローダウンの意味を知っていることと、それに達したら止まる仕組みを持っていることは別です。QANTERIONは戦略の稼働中にこれらの制限を実際に適用します。