定義
カルマーレシオ
カルマーレシオは年率リターンを最大ドローダウンで割り、リターンを「最悪の損失」の倍数として表します。計算式、36か月という慣例の期間、短い期間ほど数値が膨らむ理由を説明します。
カルマーレシオ(Calmar ratio)とは、年平均成長率(CAGR)を同じ期間の最大ドローダウンの絶対値で割った指標で、慣例では直近36か月を用います。シャープレシオがボラティリティを単位にするのに対し、保有者が実際に耐えた最も深いピークからの下落を単位にリターンを表します。CAGR 20%・最大ドローダウン10%ならカルマーレシオは2.0、同じ20%でもドローダウンが40%なら0.5です。
- 別名
- Calmar ratio · MAR レシオ · リターン・ドローダウン比
計算方法
Calmar = CAGR ÷ |Maximum drawdown|
Conventional window: trailing 36 months
20% CAGR, 10% max drawdown → 20 ÷ 10 = 2.0
20% CAGR, 40% max drawdown → 20 ÷ 40 = 0.5
Expected max drawdown ∝ σ√T, so a shorter window inflates the ratio.
MAR ratio: the same formula over the full track record.
計算例: CAGR 20%・最大ドローダウン10% → 20 ÷ 10 = 2.0。同じ20%でドローダウン40% → 0.5。
最悪の損失を単位にリターンを値付けする
ボラティリティは上下すべての揺れを数え、同じ重みで扱います。最大ドローダウンが記録するのは一つだけで、高値から新高値を更新するまでの最も深い下落です。これは投資家が持ち続けられるか、降ろされるかを決める数字です。したがってカルマーレシオは、利益が不揃いでも損失が浅い戦略を評価し、何年も滑らかに推移した後の一か月で口座の三分の一を失う戦略を罰します。シャープレシオと並べて読めば、リスクが継続的なノイズとして来たのか、一度の事象として来たのかが分かります。QANTERION のシャープ・最大ドローダウン計算機は、同じ系列についてシャープレシオとカルマーレシオを並べて表示します。
期間が数値を決める
最大ドローダウンは経路に依存する一つの観測値なので、カルマーレシオはシャープレシオより不安定で、計測期間とともに動きます。Magdon-Ismail と Atiya は、ブラウン運動の経路における期待最大ドローダウンが時間の平方根に比例して増えることを示しました。同じ戦略でも12か月のカルマーレシオは36か月のものより機械的に高くなり、両者は比較できません。MAR レシオは同じ式を運用開始からの全記録に当てはめたもので、最も厳しい版です。取引回数の多い戦略は深いドローダウンに遭う機会も多いため、取引頻度も比較に含める必要があります。
よくある誤読
異なる期間や異なる取引頻度のカルマーレシオを、一つの統計量であるかのように比べてしまうのが典型的な誤りです。期間を短くすれば、戦略が何も変わらなくても数値は上がります。二つ目の誤りは、高いカルマーレシオを低リスクと読むことです。それは単に短く穏やかな履歴で、最悪のドローダウンがまだ起きていないだけかもしれません。12か月の高い値は、36か月の中程度の値よりはるかに語ることが少ないのです。
出典
- On the Maximum Drawdown of a Brownian Motion — Journal of Applied Probability (author copy, Rensselaer Polytechnic Institute)
- Drawdown Measure in Portfolio Optimization — International Journal of Theoretical and Applied Finance (author copy, Columbia University)
- Drawdown: From Practice to Theory and Back Again — arXiv (Goldberg & Mahmoud; published in Mathematics and Financial Economics)
本用語集は教育目的です。ここに投資助言は含まれず、記載のいかなる指標も将来の結果を予測するものではありません。
定義を知るのは簡単な部分
ドローダウンの意味を知っていることと、それに達したら止まる仕組みを持っていることは別です。QANTERIONは戦略の稼働中にこれらの制限を実際に適用します。