定義
最大ドローダウン
最大ドローダウンは資産のピークから谷までの最大下落率です。定義、計算式、回復に必要な非対称なリターン、そして誤読されやすい点を解説します。
最大ドローダウンとは、資産がピークをつけてから新高値を更新するまでの間に記録した、最大の下落率です。戦略が実際に与えた最悪の損失を測るものであり、起こりうる損失ではありません。しかも非対称で、50%のドローダウンを取り戻すには100%の上昇が必要です。複利にとってピークリターンよりドローダウン管理が重要な理由がここにあります。
- 別名
- MDD · ピークトゥトラフ
計算方法
Drawdown(t) = (Peak equity up to t − Equity(t)) ÷ Peak equity up to t
Max drawdown = max over all t of Drawdown(t)
Recovery required = 1 ÷ (1 − Max drawdown) − 1
計算例: 資産が10万ドルでピークをつけ7万ドルまで下落 → 最大ドローダウン30%、回復には42.9%の上昇が必要。
統計量ではなく制約条件
リターンは戦略が生み出すもの、ドローダウンはそれを受け取るために人が座って耐えるものです。放棄された戦略のほとんどは、バックテストが示していながら本人が体感として理解していなかったドローダウンの最中に放棄されています。したがってサイジングは期待リターンではなくドローダウン耐性に対して決めます。持ち続けられない戦略は、平均値が何であれ価値がゼロです。
深さは半分にすぎない
同じ30%の最大ドローダウンでも、6週間で回復する戦略と2年かかる戦略では耐えられる度合いが違います。ドローダウン期間——水面下にある時間——は、その間に資金が他の機会へ回せるかどうかと、運用者が続けられるかどうかを決めます。両方を報告しなければ、この指標は不完全です。
よくある誤読
バックテストの最大ドローダウンは最悪ケースとして扱われがちですが、それは標本内の最悪でしかなく、実質的には下限です。将来には標本に含まれない相場局面が必ずあります。実運用のドローダウンがバックテスト値を超えるのは正常であり、戦略の破綻を示すものではありません。
出典
- On the Maximum Drawdown of a Brownian Motion — Journal of Applied Probability (author copy, Rensselaer Polytechnic Institute)
- Drawdown: From Practice to Theory and Back Again — arXiv (Goldberg & Mahmoud; published in Mathematics and Financial Economics)
- Drawdown Measure in Portfolio Optimization — International Journal of Theoretical and Applied Finance (author copy, Columbia University)
本用語集は教育目的です。ここに投資助言は含まれず、記載のいかなる指標も将来の結果を予測するものではありません。
定義を知るのは簡単な部分
ドローダウンの意味を知っていることと、それに達したら止まる仕組みを持っていることは別です。QANTERIONは戦略の稼働中にこれらの制限を実際に適用します。