定義
ピラミッティング
ピラミッティングは、含み益のあるポジションに、順行するたび前回より小さい数量で買い増す手法です。正・逆ピラミッドの平均取得単価の違いと、買い増しを新たなリスクにしない損切りルール。
ピラミッティングとは、トレードが有利な方向へ動いた後にのみポジションを追加し、追加するたびに数量を前回より小さくするポジション管理のルールです。平均取得単価は最初の建値の近くにとどまり、追加分は含み益で賄われます。100・104・108・112 で 4・3・2・1 単位を追加すると平均取得単価は 104 になり、同じ数量を逆順に追加すると 108 になって、4% 未満の押しで利益がすべて消えます。ピラミッティングは逆マーチンゲールです。勝った後にだけ増やし、負けた後には決して増やさず、追加のたびに現在の損切り水準に対してサイズを計算し直し、建玉全体のリスクを一回あたりの許容額の中に収めます。
- 別名
- 増し玉 · 順張りの買い増し · 逆マーチンゲール
計算方法
Upright pyramid: units_k = units_0 × r^k with r < 1 (each add smaller than the last)
average entry = Σ(units_k × price_k) ÷ Σ units_k
open risk after each add = Σ units × (average entry − stop) ≤ per-trade risk budget
Worked example — 4 / 3 / 2 / 1 units at 100 / 104 / 108 / 112:
average entry = (400 + 312 + 216 + 112) ÷ 10 = 104
stop trailed to 106 → 10 × (104 − 106) = −20, i.e. 20 of profit locked in
Inverted 1 / 2 / 3 / 4 at the same prices: average entry = 108, same stop → 10 × (108 − 106) = 20 at risk
計算例: 100 で四単位、104 で三単位、108 で二単位、112 で一単位なら平均取得単価は 104 です。損切りを 106 まで引き上げればこのポジションは損失になり得ず、106 までの下落は 112 時点の含み益 80 のうち 60 を返します。
ピラミッドの形が平均取得単価を決める
正ピラミッド、すなわち 100・104・108・112 で 4・3・2・1 単位を持つ形は、十単位を平均 104 で保有します。損切りを 106 まで引き上げれば、最後の追加が終わった時点でも 20 の利益が確定しています。同じ順序を逆にして 112 に四単位、100 に一単位を置くと平均は 108 になり、同じ損切り水準が 20 の損失に変わります。したがって各追加は現在の損切り水準に対してサイズを計算し直し、損切りは直近の追加が無効になる水準まで引き上げる必要があります。損切りを元の位置に置いたままのピラミッドは、天井付近で買い切った大きなポジションにすぎません。
勝ちに乗せる手法は、勝ちが存在する相場でしか報われない
時系列モメンタムの収益は、長く続く少数のトレンドから生まれます。大半のシグナルは小さな損失で終わり、年間成績は走り続けた数本のトレンドで決まります。ピラミッティングはまさにこの偏りを増幅します。トレンドがすでに実証された場所でサイズを増やし、失敗したエントリーは当初の小さなサイズのままにするからです。もみ合い相場では計算が逆転します。追加はどれも直近高値で行われ、引き上げた損切りは次の揺り戻しで刈られるため、ピラミッドは固定サイズの一本のポジションより多く負けます。QANTERION のモメンタム戦略はピラミッティングを行わず、固定配分とドローダウン上限のもとで分単位のポジションを保有します。
よくある誤読
よくある誤りは「うまくいっているから」と損切りを動かさずに買い増すことです。これは反転リスクが最も高い瞬間にエクスポージャーを増やし、小さなポジションと小さな損切りを、大きなポジションと大きな損切りに変えてしまいます。もう一つはピラミッティングとナンピンの混同です。含み損のトレードに追加して平均取得単価を下げるのはマーチンゲールであり、求められる追加数量は、相場が判断の誤りを示しているときにこそ最も速く増えます。
出典
- Time Series Momentum — Journal of Financial Economics (Moskowitz, Ooi & Pedersen), hosted by AQR
- A New Interpretation of Information Rate — J. L. Kelly, Jr., Bell System Technical Journal (hosted by Princeton University)
- Good and bad properties of the Kelly criterion — MacLean, Thorp & Ziemba, hosted by the UC Berkeley Department of Statistics
本用語集は教育目的です。ここに投資助言は含まれず、記載のいかなる指標も将来の結果を予測するものではありません。
定義を知るのは簡単な部分
ドローダウンの意味を知っていることと、それに達したら止まる仕組みを持っていることは別です。QANTERIONは戦略の稼働中にこれらの制限を実際に適用します。