定義

ボラティリティ

ボラティリティとは、一定期間のリターンの標準偏差です。年率換算の公式(√252 と √365)、実現値とインプライドの違い、そして損失と同義ではない理由を説明します。

更新日

ボラティリティとは、資産または戦略のリターンが、指定した期間において平均からどれだけ散らばるかを示す標準偏差であり、その期間自体が数値の一部です。日次リターンの標準偏差が 2% なら、株式では √252 営業日で年率換算して約 31.7%、年中無休で取引される暗号資産では √365 で約 38.2% になります。上昇方向の動きも下落方向の動きも同じ重みで数え、シャープレシオの分母でもあるため、同じ戦略でも穏やかな期間で測れば嵐の中で測るより良く見えます。

別名
リターンの標準偏差 · 実現ボラティリティ · 年率ボラティリティ

計算方法

            σ = √( Σ(rᵢ − r̄)² ÷ (n − 1) )   — sample standard deviation of period returns

σ_annual = σ_daily × √252   (equities, trading-day calendar)
σ_annual = σ_daily × √365   (crypto, 24x7)
Example: 2% daily → 2% × 15.87 ≈ 31.7% (equities), 2% × 19.10 ≈ 38.2% (crypto)

Vol-target size = Target σ ÷ Realized σ   (fraction of full position)
          

計算例: 日次 σ 2% → 2% × √252 ≈ 31.7%(株式の年率)、2% × √365 ≈ 38.2%(24 時間取引の暗号資産)。目標年率 σ 10%、実現値 20% → フルサイズの 50% を保有。

期間こそが意味のすべて

期間を示さないボラティリティは数値ではありません。同じリターン系列の日次・週次・年次の標準偏差は期間数の平方根だけ異なるため、慣例として取引日カレンダーのある市場では日次 σ に √252 を、休みのない市場では √365 を掛けて年率換算します。この √T の法則は各期間のリターンが互いに独立であることを前提としており、独立でなければ年率換算値は近似にすぎません。実現ボラティリティは過去のリターンから計算し、インプライド・ボラティリティはオプション価格から逆算するもので、両者はしばしば一致しません。インプライドは予測、実現値は測定です。

偏在し、シャープレシオの分母に座る

実現ボラティリティには持続性があります。変動の大きい日の翌日は穏やかな日より変動の大きい日になる可能性がはるかに高く、予測モデルが定数ではなく時系列として扱うのはこのためです。ボラティリティはシャープレシオの分母なので、同じ戦略でも測定期間がたまたま静かなら戦略を何も変えずに高いスコアが出ます。ボラティリティ・ターゲティングはこれを逆手に取り、ポジションサイズを目標 σ ÷ 実現 σ と定めることで、市場が荒れれば自動的にエクスポージャーを縮め、落ち着けば戻します。QANTERION のシャープレシオ計算機は年率換算済みのボラティリティを入力に取るため、日次の数値は先に √252 か √365 を掛ける必要があります。

よくある誤読

ボラティリティは損失の同義語として読まれがちですが、標準偏差は +5% の日と −5% の日を同じ量として数えます。上方向にしか驚かせない戦略でもボラティリティは高いのです。ドローダウンの代わりに読むのも誤りです。小さな損失が連続して並ぶ低ボラティリティ戦略は、損失が散らばる高ボラティリティ戦略より深いドローダウンに沈むことがあります。ドローダウンはリターンの順序に依存し、ボラティリティは順序を完全に無視するからです。

出典

本用語集は教育目的です。ここに投資助言は含まれず、記載のいかなる指標も将来の結果を予測するものではありません。

定義を知るのは簡単な部分

ドローダウンの意味を知っていることと、それに達したら止まる仕組みを持っていることは別です。QANTERIONは戦略の稼働中にこれらの制限を実際に適用します。